「南の魚4」第1話したがき中
 2012年12月9日の制作時間、45分27秒。マンガ「南の魚」第4巻、第1話のしたがき中。だいたい10ページの途中まで。

 小沢昭一さんがお亡くなりになったというニュースにびっくりしてしまった。
 ここんところ、いろいろと文化的な面での影響力のあったすごいひとたちの訃報が続いている。
 おれは小沢昭一さんのことは、子供のころに、よくテレビで観たなあっていうくらいでしか知らないし、日常的に小沢昭一さんのことを考えることもないんだけど、じつはこないだ、12月6日だな、自転車漕ぎながら、ちょうど小沢昭一という人物について考えていたところだったんです。
 おれはじぶんのマンガで、なんとなく登場人物が歌をうたっているような場面をよくかく。とくに意味はないんだけど、ミュージカル映画みたいなのが好きでね。マンガでミュージカルって、どうやったらできるだろうって、試行錯誤してたころの名残りかな。いまはそんなにミュージカル的なことに意識的ではないけれど。
 で、おれ流ミュージカルマンガのつくりかたなんだけど、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」は、いろんなひとが翻訳しているけれど、歌や詩の場面は、みんな新体詩的なものになっているってことを、むかーし、だれか評論家のひとが、どっかに書いてたのを読んだのが、なんとなくヒントになっていると思う。ナンセンス詩と新体詩。専門的なことは知らないが、まあいわゆる七五調って考えればいいのかな。
 マンガは音が出ないので、メロディーまでは指定できないけれど、リズムだったらなんとかできるんではないかって、そこらへんのところを試行錯誤していた時期があってね、古くさい新体詩のリズムが、マンガミュージカルを可能ならしめるのではないかと、考えていたわけです。
 で、そこらへんの日本語のリズムのことを考えていたとき、ふと小沢昭一さんのことを思い出してね。それもおれが中学生くらいのときに観たテレビだったかなあ、調度ジュリーの「勝手にしやがれ」が流行ってからしばらくたってのことかなあ、小沢昭一さんが家で鼻歌で、「あんたの時代はよかったよー」って歌ってたら、家族に笑われて、「あんたの時代はよかったー」だよって訂正されたってハナシをなさってまして。小沢さん的には「よかったよー」のほうが歌いやすいけどって、細かいことまでは覚えてないけど、時代によって変わっていく日本語のリズムについてのオハナシだったんじゃないかな。
 当時の感覚では、「よー」が入るとダサイんだけど、「たーっ」で終わるとカッコいい(ジュリーのうたいかたは「たあんっ」って感じだったかな)。中学生くらいだったおれの感覚としては、そのハナシが面白くてね。なんかわかんないけど、記憶に引っかかっている。
 というようなことを、12月6日に、チャリ漕ぎしながら思い出して、ずっと考えていたんです。もうちょっといろいろ考えたはずなんだけど、文章にできるほど整理できてないし、たいしたハナシでもないんですが。
 と、まあいつものことではありますが、とりとめのない作文で、失礼いたします。

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