でんちゅうさん
 ここんとこ御近所をぶらぶらするのが面白くなってたので、近くにあるくせに、まだ行ったことのなかった平櫛田中彫刻美術館にも行ってみようって思った。はっきり言っていつもの散歩道の途中にあるんだよなこの美術館。まだ入ったことなかったってのがじぶんでも不思議なくらい。
 ここは人間国宝の彫刻家、平櫛田中さんが晩年を過ごした家を田中さんが亡くなったあと、美術館にしたもの。おれが中学生のころ、100歳を越えた田中さんも当時はまだお元気で、NHKの朝の番組に出てらしたのを覚えている。どんな話をされていたかは記憶にないけど、カンラカラカラと豪快に笑っていたのが印象に残っている。同じクラスのともだちが、田中さんちの向かいの家に住んでいて、その放送のとき、NHKのスタッフが電源を借りに来たとか。そんで、貸してあげたらライターを貰ったって言ってた。当時はまだたぶんチルチルミチルなんつー使い捨てのライターも出回ってなかったと思うので、どういうライターを貰ったんだろうな、ちょっと気になるなあ。
 なんつーことを考えながら、小雨のなか歩いて田中美術館に行ったわけなんだけど、5時くらいまでやってんだろうなあと思ってたら、4時までだったんだな。4時数分前に到着してしまったおれは、また改めてまいりますと、受け付けのかたに御挨拶だけして、帰ってきた。
 それだけの話でございます。



  

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