カピートとパイプ入門
 毎日吸ってるたばこをふつうの紙巻きたばこから日本式のキセルに変えてみたら、たばこの世界のおもしろさに気がついてしまった。もうすこしたばこを追求してみたくなって、インターネットでいろいろ調べていたら、カピートっていう小さいパイプが目に止まった。キセルより火皿がひとまわりくらい大きいだけの小さいおもちゃのパイプ。ドンキホーテでも売ってるってハナシだったので、大晦日なのに近所のドンキに行ってみた。
 そしたらカピートあった。ネットの写真でみたやつよりも、おもちゃっぽいやつだけど、でもこれでもいいや。そしてそのあといろいろみてたら、パイプ・スモーキング・キットっていう、いわゆるパイプ入門セットもあってね、安かったのでカピートといっしょに買っちゃった。



 だけど、困ったのは葉っぱだ。ドンキじゃパイプの葉っぱまでは売ってない。こんな大晦日の日に、パイプたばこ売ってるようなマニアックな店が開いてるわけないし、仮にそういう店が開いてるんなら、ドンキで安物のパイプ入門キット買うなんてことせず、プロのひとに初心者向けのパイプを選んでもらったほうがどう考えたって利口だ。先走ったか。
 まあとにかくパイプにつめるたばこの葉っぱがなければ、ハナシになんない。たばこの自販機でゴールデンバット買って帰る。
 家帰ってきてゴールデンバットひと箱ぜんぶほぐす。パイプにつめて吸ってみる。これがおれのパイプ入門。なんかカライよこれ。よくわかんないなパイプ。いや、パイプが悪いんでなく、ゴールデンバットのせいか?
 やっぱりパイプ用の葉っぱが必要だ。どこかパイプたばこ置いてる自販機ないかなあ、もういっかい出かけてマニアックなたばこを置いてそうな自販機のあるところをいくつか廻ってみるが、パイプたばこはない。でもかわりに、パイプたばこっぽい感じのブラックストーンのバニラっていうのがあったから、それを買って帰って、ゴールデンバットをほぐした葉っぱにこれもほぐしてまぜてみた。さっきよりほんのすこーし甘くなった。
 お正月の三ヶ日はこれでいこう。三ヶ日すぎたら、専門店でちゃんとした葉っぱ買ってこよう…。



 カピートっていうのは、なかなか気に入った。キセルよりちょっとたくさんたばこが入る。刻みたばこの小粋をつめて、キセルみたいにもできる。キセルの一服よりちょっと長く一服したいときにちょうどいいくらいのサイズって感じ。こないだまで吸ってた紙巻きたばこと同じくらいのボリュームだと思う。
 パイプ入門のほうはまだよくわからない。なんだか、パイプの世界は思ったより奥が深い。その先になにがあるわけでもなさそうな煙りの道楽なのだが、にもかかわらず深遠すぎて笑っちゃう。パイプでたばこを美味しく味わえるようになるには一ヶ月くらいかかるって、どっかのサイトに書いてあった。それから、新品のパイプはナラシが必要で、これもしばらく使って火皿にカーボンが付着してきてからじゃないと美味しくないらしい。そして葉っぱにも一般的な紙巻きたばことはくらべものにならないくらいいろんな味があるわけなんだが、いまおれが吸ってるのはゴールデンバットとナントカバニラをブレンドした即席コジマオリジナルだからなあ…。まずい理由が三拍子そろったいまのこの悪条件下で、パイプで美味しいといえるわけがない。面白そうだが、まだなんともいえないなあ…。


どうだいジョージ?
どうでしょうなあ、シーシーライダー…。

この記事のURL