日曜日(9/4)
 菖蒲が浜キャンプ場の朝。いくつものカヌーが出たり入ったり。このキャンプ場はカヌーのお客さんがけっこういるみたい。
 おれの張ったテントのとなりが、犬を連れたかたで、かわいいちいさな犬で、よくしつけられたおとなしい犬なのだと思うのだけど、おれがトイレに行こうと歩くルートが、調度その犬の気にさわる距離みたいで、なんどか吠えられた。まあおれはかまわないんだけど、犬を連れてキャンプするって難しそうだなあって思った。ほかにも何人か吠えられて、おこっているひともいたようだった。
 さて、キャンプ場を出発する。国道120号をもときたほうへ引き返す。川場のキャンプ場も越えて沼田インターも越え、国道145号、ロマンチック街道を西に向かってひた走る。県道55号をぬけて六合村の道の駅でそばを喰って、さらに西に行くと草津だ。





 あちこちから湯気の吹き出る温泉場、草津をぬけると、とても硫黄臭いスペクタクルな山道を走ることになる。鼻の曲がりそうな毒ガス地帯、これが白根山か。観光名所の湯釜を観る。こないだ観た蔵王のお釜もすごかったが、こっちの湯釜もまたすごい。火星の景色。



 白根山をすぎると、志賀高原。ここらの景色もスペクタクルだが、残念ながら天気が悪い。雲がかかって遠くまで見渡せない。そのうちぱらぱらと雨も降ったりしてきて、雨具を出したりしまったり。
 北信州やまのうちの道の駅で天ぷらそばを喰う。国道292から志賀中野道路を通って、18号は北国街道。これで黒姫に向かう。



 黒姫といえば、いとこのじゅんちゃんが、黒姫に詳しくて、まえに黒姫ハイランドっていうキャンプ場が面白かったなんていうハナシをしていたことを思いだしたので、おれもその黒姫ハイランドに向かうことにした。どこがどう面白いっていってたのか、肝心なことはすっかり忘れてしまっていたのだけど。
 黒姫駅周辺をスクーターでうろうろして、田んぼひろがるところを走って森のなかを走ると、黒姫ハイランドに到着。キャンプ場というよりまずは釣り堀が目につく場所。そのほかにいくつか建物があって、グラウンドがあって、キャンプをメインにしているところってわけではなさそう。そこのお姉さんにキャンプできますか、ときくと、こんなところでよろしかったら…、というなんとも自信なさ気なお答え。よくよく聞くと、これからとある高校の吹奏楽部が合宿にやってくるので、夜中まで音楽がうるさいかもしれませんよとのこと。そうだそうだ、じゅんちゃんがいってたのはそのことだったっけ、キャンプしてると音楽が聴こえてくる面白いキャンプ場だって。
 まあそんなわけで、そこのキャンプサイトにテントを張る。吹奏楽部のバスも到着し、ぽつぽつきていた雨がだんだん本降りになってきた。コンビニで買ったパンを食べるだけのキャンプの食事をしていると、となりの建物のほうから、吹奏楽部の演奏が聴こえてきた。
 なんか聞き覚えのあるメロディー。なんだっけ…。あれだ、たぶんあれだ、モーニン!! アート・ブレイキー。くりかえしくりかえしモーニン。たまに、デイブ・ブルーベック、テイク5。そんでまたモーニン。枯れ葉もちょっとあった。
 吹奏楽部の練習だ、高校生かわいいなあ、なんて思いながら、夜の七時くらいかな、テントのなかで音楽聴きながら眠った。こんなキャンプもいいもんだなあ。
 そして、夜中の12時くらい、豪雨のなか、ふと目をさますと、吹奏楽部の練習時間は終わっていたようだったが、こんどはたいへん、深夜のジャムセッション、あの学生達、ものすごい大騒ぎを繰り広げていた。ドラムとベースとオルガンがうねりまくるメデスキ・マーチン&ウッドみたいなアシッド系か、よくよく聴いているといくつかの部屋で、めちゃくちゃなジャムセッションをやっているみたい。そしてそれらが渾然一体となってひとつの音楽であるかのように立ち現れる。そこに孤独に枯れ葉を練習しているやつのトランペットの音も聴こえてきたりして、雨の音にすこし下手さがかき消され、それらが混じりあって異様に渾沌としたこのかっこよさはまるでマイルス・アット・フィルモアのようではないか!!??(それはホメすぎ!)
 いやもうテントのなかで聴いているだけで楽しすぎて眠れなくなってしまった。最高!! そしてこりゃいかん。さすがに明け方ちかくなってやばいと思い、ティッシュをまるめて耳につっこんで眠ろうとしてみたが、ダメ。なので、耳もとでラジオをつけて、深夜便のオハナシに集中することで、ようやく眠ることができた。


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