ET-3
 中古で買って、買ったときからポンコツといわれつづけてはや15年。このあいだ初めてこの小型スクーター、ET-3でコケた。
 1月のある日、その冬の寒さゆえか、我がET-3、突然エンジンがかからなくなったってしまった。プラグをはずして磨いてみたけどエンジンはうんともすんともいわない。どうしたらよいかよくわからなくて、押しがけをこころみた。しかし、押しがけってのにあんまり慣れてなかったおれは、急にエンジンがかかって走り出したスクーターに飛び乗ることができなくて、ずるずる引きずられ、うわあって思った瞬間に、車体ごと道路脇のミゾに突進してしまったのである。おれは両膝を擦りむき、スクーターはフロアの部分が無惨にも大きくヘコんでしまった。押しがけってオソロシイ!!
 まあそんなわけで、押しがけでしかエンジンかからなくなってしまったET-3、さてどうしたものかと友人に相談すると、点火ポイントの劣化なら、店に持っていけば3万くらいで直してもらえるのではと…。
 うーん3万か…。寒いなか、またあの恐怖の押しがけをして店まで走って、3万で直るならまあそれでもいいか…。でももしお店のひとに、いっぺんエンジン下ろさなくては直りませんとか言われたら、10万くらいするかもしれない…。そんなこといわれたら、やっぱりちょっと考えさせてくださいといって、またあの恐怖の押しがけをして家に帰ってきちゃいそうだ。そして考えがまとまったら、三たびあの恐怖の押しがけをして店に持っていくのか…。 ああ…、押しがけか…、また両膝擦りむくのだろうか…。寒いなか、あれはつらかった…。
 おれのET-3も、そろそろ寿命なのかもしれない。いままで、ポンコツだあボロボロだあマフラー腐ってるうとかいわれながら、それでもよく走ったものだなあ。富士山だって5号目まで登ったし。いやはや御苦労さんであったよ、どうもありがとう…、って感じで、おれもET-3関係の買い置き部品などを整理し始めた。買い置きの2ストオイル、整備の資料として買った雑誌、予備の電球、これらももういらなくなるのか…。そうそう、念のためにプラグも予備を買いそろえていたんだっけ。こいつもどうせ捨ててしまうんなら、最後にエンジンにくっつけてあげようか…。
 そう思ったおれは、 ET-3のエンジンから古いプラグを回して抜いて、買い置きしてあった未使用のプラグを差し込み、試しにチョークを引いてキックペダルを思いきり踏んだ。
 ブルルルルルン!!
 あれれっ、直っちゃった!!

 というわけで、うちのET-3、まだまだ現役バリバリです。
 大きくヘコんだフロアの部分も、カナヅチでたたいてある程度なおすことができました。それでまたポンコツ度がさらにアップしたようではありますが。

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