6月22日(水)
 背あぶり山では、虚弱なおれにしてはちょっと無謀な野宿をやっちまったので、イマイチ眠りが浅く、明るくなるころには目がさめてしまった。さっさと撤収してすぐ出発。
 294号、茨城街道を南に走る。明けがたの道、まだだれも起きてないだろうと思っていたら、あちこちにおばあちゃんたち、もう畑仕事してる。すげえ。
 道のわきにスクーターを停めて地図をひろげて調べていると、軽トラのおじいさんが、どこさ行くんだい? って声をかけてくださった。先日もそうだったけど、無計画な旅行なので、どこに行きたいっていう明確な目的がなくて、せっかく道案内を買って出てくださったおじいさんの御親切にきちんと答えられるような返事ができず、もごもごしてしまう。おじいさんも困りながらいろいろ道を教えてくださってから、いい遊びだね…ってあきれたようにつぶやいていた。たしかにそのとおりだよなあ…、こんな朝早くから働いているおじいさんおばあさんを横目にみながら、なにやってんだおれ…ってちょっと自己嫌悪。

    

 羽鳥福良線を南に走って118を西。121号、日光街道、会津西街道、五十里湖をみて、川治温泉のあたりから 西へ23号川俣温泉川治線。川俣湖をすぎたところの、またぎの里っていう店で熊丼を食べる。初めて食べた熊の肉、うまいのかどうなのかよくわからない。
 奥鬼怒林道は、猿の住処のようだ。猿のひとたちが道のまん中に住んでるかんじ。コーナーを曲がると目の前で猿がくつろいでいたりして、スクーターが近付くとあわてて逃げていく。ガードレールに隠れてこっちに睨んでたりする。なんとなく猿の生活の邪魔をしてしまっているようで走ってて気がひける道。でも猿も道のどまん中に、あんなにたくさんうんち転がしとくことないと思う。すべりそうで恐い。
 この林道を南下してぶつかるところが、120号、いわゆる日本ロマンチック街道の戦場ヶ原があるあたり。それをひだりに行くと中禅寺湖で、こないだキャンプしたとこだから、そっちはやめて、みぎに行く。丸沼温泉を越えて鎌田から401沼田街道に入って北へ進むとそこが尾瀬への入り口、片品村だ。

    

 片品村から水上村をつないでいる県道63号水上片品線は、一般の車で入れる原生林。尾瀬の手前。ここらに無料のキャンプ場があるってウワサをきいてそれを探すことにした。途中、尾瀬に行く道に分岐しているけれど、そっちはバスに乗り換えないと行くことができない。分岐点でおじさんがすわって睨みをきかせている。
 アスファルトの道とガードレールのほかは、だいたいが見渡すかぎりの手付かずの自然森なので、キャンプ場は容易にみつけることができた。奥利根水源の森というところ。そこそこ公園化されているけど、かなり広く森のなかを散策できる。面白い、気に入った。トイレはあるけど水はない。水源の森だから、川の水が飲めるかなあと思ったりもしたけれど、ちょっと恐いからやめといた。
 公園の周囲を30キロ制限の砂利道がとりかこんでいて、スクーターでゆっくり走って森のなかをみてまわる。写真を撮りにきているひとたちが数名いた。
 テントサイトにテントを張る。もうひと組キャンプのかたがいらっしゃった。こちらも写真を撮りにきていた御夫婦のようで、かっこいいカメラが三脚つきでテントのまわりにいくつか並んでた。
  このキャンプ場、湿地帯なのでやぶ蚊が多いのがタマにキズ。蚊取り線香焚いても焚いてもきりがない。こりゃもう暗くなったらさっさと寝るしかないって感じだった。
 キャンプ場について気がついたのだが、ずっとリュックにカラビナでくっつけといたペットボトルホルダーがいつのまにかなくなっていた。どこかに落としたらしい。ここ数年お気に入りだった東急ハンズで買ったマウンテンダックスのペットボトルホルダー。すっげーショック。

    

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