もらったカセットテープ
 2015年2月3日の制作時間、18分29秒。マンガ「南の魚」第5巻、第1話のしたがき中。だいたい4ページの途中まで。




 これは80年代のことだったと思うけど、ともだちがはっぴいえんどにハマっててさ、「この曲の歌詞、わけわかんなくて、おまえのマンガみてえだよ」なんつって、録音したカセットテープをもらったことがあった。それがあの名曲「風をあつめて」であります。
 おーっと、すいませんすいません。こういうハナシは、はっぴいえんどファンに怒られちゃうな。奴にしたら、おれに興味持たせようと、おまえのマンガに似てるって、適当なこと言っただけなんだろうけど。
 まあ、似てるかどうかはべつとして、たしかにそれがキッカケで、はっぴいえんどは好きになりました。

https://www.youtube.com/watch?v=hUQSJvzCAsc




 これも、おれが20代前半のことだったと思うんだけど、とある本屋でバイトしていてね。そこでのバイトの後輩の少年がね、なぜだか、ものすごくおれに心酔してしまったことがあるんです。ん?? なんだそれは…??
 おれ、べつにカッコよくないし、モテないし、暗いし、冴えないし、かなりどうしようもない若者だったと思うんだけど、どこをどう勘違いしたのか、そんなおれがカッコいいって……。おれのやることなすこと、なんかわかんないけど、すべてカッコいいって…。
 いやこれ、ホントなんですよ。信じてもらえないかもしれないけども…。
 バイトでくたびれたーって言えば、「うわー、コジマさんカッコいいーっ! くたびれてるって、スゲーッ!!」って、わけわかんねえこと言うんだあいつ。「最近、部屋に籠ってて、テレビばっかり観てんだー」って言えば、「うおーっ、コジマさん、テレビが友達って、カッコいいっすよ。サイコーッすよコジマさん! ねえ、そう思わない? みんなそう思わない??」って、まわりに同意求めたりして。
 まーありがたいっていえば、ありがたいんですけども。そういうこと言ってくれるのが、可愛い女の子だったらよかったんだけど、残念ながら、そういう女の子はいなかった…。
 で、その少年が、あるとき、じぶんのお気に入りのバンドの音楽をカセットに入れて、これ、コジマさんのマンガに似ているんです。是非聴いてくださいって、くれた。
 それが、アンジーっていうバンドで、たしか一曲目がこれでしたな。

アンジー すべての若き糞溜野郎ども
https://www.youtube.com/watch?v=04kOkHrwumI

 んー、似てるかな??
 似てますかね…??
 これもまた、アンジー、およびアンジーファンのみなさんに、申し訳ないようなハナシだな。ごめんなさいアンジーとアンジーファンのみなさん。そのむかし、バイトの少年がそう思ったというだけのハナシでございます。
 そんなわけで、勘弁してやってください。




 さて、80年代版の「月の男」を買ってくれた、とある女の子が、あがた森魚の「バンドネオンのジャガー」を録音したカセットテープを送ってくれたことがあります。
 これは、べつに、コジマのマンガと似てるとか似てないとか、そういうハナシではなくてね。彼女がお気に入りのもーりんの音楽を、本を送ったお礼にくれたっていうハナシ。
 このテーブ、けっこう気に入って、しばらく愛聴盤でした。これがきっかけで、あがた森魚のCD、けっこう買った。でも、「バンドネオンのジャガー」がいちばんの愛聴盤だったな。

https://www.youtube.com/watch?v=13gBZFfX3mw


 さいごにもうひとつ。
 うえに書いた本屋とはまたべつの本屋でバイトしていたときのことだけど、バイト仲間の女の子の弟くんが、おれのマンガをたいそう気に入ってくれて、「コジマさん、これ好きなんじゃないかなあ」って、フランク・ザッパのカセットテープを、お姉ちゃん経由でもらったことがある。ちょうどザッパが死んだころのハナシ。高校生くらいでザッパ買いまくってるザッパマニアって、当時、珍しい少年だったな。
 そのカセットテープもけっこう聴いた。しかし弟くんセレクトのザッパのテープが、ちょっとわかりにくくてさ。ほら、フランク・ザッパって、いろんな作品を大量につくっているから、ベスト盤では、つかみどころがないっていうかなんというか。でも、そういう雑多なところが、ザッパの魅力でもあるよな。
 いまでは大好きなフランク・ザッパなんだけど、ザッパっていうと、彼のことを思い出すのであります。

Frank Zappa - Montana
https://www.youtube.com/watch?v=Lv1WYaFVvII

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