![]() こないだのことなんだけど、朝がたまで仕事で絵をかいていて、それをファックスして、眠りについたんです。昼くらいに、先方さんから手なおしされたファックスが送られてくるから、それまで寝て待つことにしようって思って、るす電にして、ふとんに入りました。 そんで、昼ごろ、夢うつつのなか、電話の音が聴こえてさ、ああ、ファックスだな、るす電になってるから、勝手に受信してくれるから、機械まかせにしてほっとこうって、そのまま起きることなく電話の音を聴いておりました。ジーコロコロってファックスを受信する音が聴こえてね、ほらやっぱりファックスだ、もう少し眠れるなあ、なんて思いながら、目をつぶって聴いておりました。 だけど、ジジジジーって、機械が紙を送り出す音が終わったところで、突然女の子の声で、 「はーい、わー、わー、わー、わー」 って聞こえて、ガチャリと電話が切れた。 えっ?? いまのなに!?!? 一気に目がさめてしまった。 これはいったいなんなのか、なんか若い女性っぽい声だったから、仕事先のひとが、新入社員の女の子に、ファックスを送らせる練習かなんかをさせていて、その子がファックスの使い方を知らなくて、紙を送ると同時にるす電にも声を入れようとしたのかなあ。それにしては、はーい、わー、わー、わーって、いたずら電話みたいなことさせるかな…。あるいは、こういういたずら好きの女ともだちって、最近のおれのまわりにいたっけかなあ?? まったく思いあたるフシがない。そういえば、ずいぶんむかしのことだけど、いとこの女の子が電話くれたとき、「けんちゃん、あたしよー。ほら、あたしー、わかるでしょー」って、いつまでも名乗らないいたずらを仕掛けられたことがあったっけ。あれは、もしもおれがひっかかって「もしかして○○ちゃん??」とかなんとか答えちゃったら、「あーらけんちゃん、○○ちゃんってだれー!?!? アヤシイなー」って冷やかす予定だったんだろうが、それに相当するアヤシイ○○ちゃんがぜんぜんいなかったから、いとこのいたずらは空振りに終わっちゃったんだっけ。まあいいや。 とにかくいまの電話はなんだったんだ?? すっかり目がさめてしまったので、起き上がって電話機を見ると、受信したファックス用紙が一枚出てきてはいるけれど、るす電のランプは点滅していない。はて、さっき女の子の声、たしかに聞いたはずなのだが…。 と、そのとき、窓の外でカラスの鳴き声が聞こえた。 「カーア、カー、カー、カー、カー」 こいつだったか…。 どうも夢のなかで、カラスの声を女の子の声に変換してしまったらしい…。 その翌週くらいのことなんだけど、夕方、自転車で走ってたんです。くにたちに文房具買いに行こうと思ってね。 公園の植え込みの横、歩道のあたりを寒いなあと思いながら風を切って走っていると、突然女性の声が 「ぎょく!!」 っていうんですよ。耳の近くでささやくように。 えー、いまのなにっ?? ってびっくりしていると、また 「ぎょく!!」 えーっ、なにがぎょくなのー?? うーむ…。どうも公園の植え込みのところに、なにかの機械が設置されていて、ひとが通ると反応して、公園案内のナレーションでもいうように出来てるのだろうか。自転車で素早く通り過ぎてしまうから、おれには「ぎょく」っていってるところだけしか聞こえないけれど、立ち止まってちゃんと聞けば、なんかちゃんとした文章になっているんじゃないのか?? 恋が窪の歴史についてとか、いろいろ喋ってるんじゃないのだろうか…。 とかなんとか仮説を立ててみるんだけど、あまり納得できる仮説ではない。 「ぎょく!!」 植え込みが途切れたあともまた声がする。いよいよもってわからない。 ふと、公園の遠くのほうに目をやると、大きな犬を連れたひとがだれかと立ち話をしている。犬は主人のながばなしにすっかり飽きてるみたいで、何度も飛び跳ねたり踊ったりして散歩のつづきを催促している。犬が鳴いた。 「ぶぁん!!」 あ、これか…。 刺すように冷たい風の音を耳もとに感じながら自転車で走っていると、遠くで鳴く犬の声が、近くでささやく女性の声に変換される。ううーむ、なるほど、不思議なこともあるものだなあ…。 っていうか、最近おれ、妄想激しくないか?? |
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